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August 22, 2004

手品にはタネがある

たまたま入ったam/pmで、こんなDVDが売ってあった。

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「この作品は1週間見られます!」

話は聞いたことがあるがDVDMAGICという視聴制御技術で、期間限定視聴可能であるらしい。発売は今月から、とりあえずは首都圏のam/pmでの試験的販売となるそうだ。値段も525円とレンタルとそう変わらない。コンテンツには全く興味はなかったが、これは僕に対する挑戦ではないかと解釈し一枚購入。

パソコンなどでのネット認証で再生期間を限定する技術なら可能だと思うのだが、何にも接続されない民生用DVDプレーヤーではたしてどうやって一週間という時間を計るのだろうか?また視聴期間を経過した後でも追加料金を払えば更に1週間観ることができるという。これまたどんな技術を使っているのだろうか興味は尽きない。民生機には当然そのようなコンテンツ保護機能はないし、DVDの板が再生月日を覚えることすら不可能な筈だ。どのように認証するのか?

家に帰ってパッケージを開けると、こんな説明書が出てきた。

02_jacket_ura.JPG

説明書きに書いてある通りに空メールを送る。携帯で送れと書いてあったが、PCから送ってもちゃんと返事が返ってきた。再生して初めに出るこの画面でも同じことが書いてある。

10.jpg

ケータイDVDをご利用いただきまして誠にありがとうございます。
パスワード取得サイトをご案内いたします。下記のURLをクリックしてください。
※このURLをBookmark等に登録することをおすすめいたします。

http://dvdm.jp/kdvd/main.php?UID=xxxxxxxxx

このサイトにアクセスすると、このような表示が。

ファーストビューナンバーをお持ちの方は入力してください。
このDVDのパッケージの裏には「ファーストビューナンバー」というものが表示されていて、この番号を指定サイトに入力すると最初の一週間だけは追加料金なしで観られるそうだ。

03_number.JPG

DVDナンバー入力
DVD視聴中に表示される8桁のDVDナンバーを入力して送信してください。

11.jpg

DVDナンバーとは、この表示内の数字のこと。


この番号をPCでのサイトに入力し送信。すると5桁のパスワードが帰ってきた。ちなみにこの作業は携帯で行われることが前提だ。サイトもテキストだけの軽い殺伐としたものだ。
このパスワードを次の画面でDVDプレーヤーに入力する。

13.jpg

パスワードがあっていると、本編のメニュー画面へ飛ぶことができる。

15.jpg

間違えると、下のような画面が表示され先に進むことができない。

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「何だよ、じゃあそのパスワードを覚えておいて、次回以降もそれを入力すればずっと観れるじゃん」、という声が聞こえてきそうだが、そんなに甘くない。表示されるDVDナンバーは、再生するたびに変わるのだ!当然前のパスワードは使えないので、再びさっきのサイトにアクセスし同じ手順で新しくパスワードを取得しなければいけない。そしてセンターがそのパスワードを返してくれる期間が一週間だということなのだ(つまり再生時には必ず最低でもサイトに接続できる携帯が必要になるということになる)。その期間を過ぎたら問い合わせてもセンターは教えてくれず、追加の315円を支払って更に一週間の視聴期間を買わないといけない仕組みなのだ。DVDが手元にあっても認証をクリアしないと観ることはできないし、更にメーカーは買った人が何回観たか、追加料金を支払ってまでも観たいタイトルであったかなどを(消費者の特定は困難であるが)把握することができる。これはすごいシステムだ。

ここでちょっと知識のあるユーザーなら、よぅし、じゃあPCにリッピングして本編部分を抽出すればOKだな、と考えるはず。ところが、このDVDをドライブに挿入してリッピングを試みても正常に作動しない。真っ黒画面が表示されるだけでうまくいかない。このDVDMAGICという技術はコピーコントロールも施されているのだ。

こいつはすごい。再生のために違うパスワードを必要とするし、PCでコピーしようとしてもはねられてしまう。完璧だ。ついにコピーコントロール技術はユーザーを完全に管理することができたのだ。DVDMAGIC万歳!

解説

DVDは、その規格策定時にすでにかなりの多様な機能を盛り込んでおり、逆に定まった規格の複雑さ・厳格さからCCCDのようにデータ内でわざとエラーを発生させてPCでの読み込みを抑制するというような「ルール違反」ができない仕組みになっている。もちろんコピーコントロール技術として①マクロビジョン、②CSS暗号、③CPRM、④リージョン管理の4種類を搭載し「複製不能」とまで謳われていたのだが、今やこれら全てはネットの有志によってことごとくクリアされてしまい、ちょっとの知識があれば市販のDVDタイトルを複製することが可能となっている。

このような状況の中でDVDMAGICは、DVDの規格を外れることなく新たな視聴管理技術を盛り込もうとした。CCCDのような一部のプレーヤーで再生に障害が生ずる「醜い」技術ではなく、あくまでもれっきとした「DVD-Video」メディアの中でコンテンツに視聴可能期間を設け、安価で販売できるように試みたのである。
しかしながら上述の通り、「規格」に外れない中で新たな試みをやらなければならない事情がこの技術を完全なものにはすることができなかった。このDVDには数種類のプロテクト技術が施されており、そしてそのどれもが回避可能なものであった。

このDVDの中身をPCのドライブで観ると、このようになっている。

Explorer.jpg

オートラン機能が設定されており、図中の「PlayDVD」というプログラムが挿入後自動で起動するようになっている。このプログラムは起動しても何の表示もなく、タスクトレイに常駐のアイコンも出さないため、ユーザーは通常気付かない。
このプログラムには、世の中に流通する、いわゆる「DVDコピープログラム」についての情報が記録されており、常駐している間はそれらが起動しようとするとその正常な動作を阻害するのである。これによりHDDへのデータのリッピングは正常に行われなくなる。
ただしこのプログラムは永久的に常駐するわけではなく、PCを終了した時点で抹消されてしまうようだ。永久的に常駐し、今後の全てのリッピングを制御するようにすることも容易な技術なのだが、そこまでユーザーのPCに干渉して問題は生じないか等の判断がメーカー側にあったものと思われる。そこまでするとウィルスの一種だし、結果このDVDMAGIC搭載のDVDについてのみ複製を抑制するという結論に至ったのであろう。
このプログラムを回避することは簡単で、PCドライブのオートラン機能をオフにするか、DVDが認識されるまでの間シフトキーを押し続ける(オートラン抑制)ことでインストールを防ぐことができる。実際に常駐させずにリッピングを試みるとうまくいくようだ。
再生のたびに異なるナンバーが表示される機能については、DVDメニューの「ランダム表示」機能を使用している。市販のDVDにもたまにあるが、再生のたびにメニュー画面の動画等が異なるものがある。プレーヤーが数種類のメニュー画面の中からランダムに表示させるのだ。毎回異なるDVDナンバー画面はこれの応用で、その数はざっと数えて約200種類。逆に言えば200通りしかないことになる。そしてこれは毎回ランダムに表示されるので数を重ねるうちに以前でたDVDナンバーと同じものがでてくる。つまり、視聴可能期間中に出来るだけ多くのDVDナンバーとパスワードを取得・控えておけば、視聴期間を経過しても再利用できるナンバーが必ず出てくる。これを裏付けるかのように、「明らかに過剰な回数のパスワード要求は出来ません」、とサイトの説明の中にある。

もうひとつ、音声にもダミーが施されており、数種類のなかから正解を選ばないとならないが、これは簡単に回避できるだろう。

総括して初級・中級者対象のプロテクトと言える。普通の消費者であれば十分その視聴を管理することができるだろう。このDVDMAGICプロテクトのもっとも優れている点は、CCCDのように規格を逸脱していないところである。規格外であるゆえに再生できないプレーヤーも多く、中には壊れてしまうドライブもあるCCCDと比較すればはるかに互換性は高く、且つ安全である。

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